000969:タクシーの規制緩和が失敗した訳

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タクシーの規制緩和がもたらしたのは、タクシー会社や車両の増加でした。
価格競争も行われ、安い料金のタクシーが増えています。
ここまでは、利用者にとって良い事だと思うんです。

で、その後、競争に勝てない「悪い会社」がつぶれ、「よい会社」が残って、需要と供給がバランスする予定だったみたいですね、お偉方の頭の中では(笑)
でも、そうならなかったし、多分このままだと今後もそうならないのは、訳があります。

タクシー乗務員の給与は、売上をベースにした歩合制です。
なので、売上が減れば、給与も減ります。
給与が減ったら生活できないから、辞めるなり転職するはずですけど、そもそもタクシー乗務員は年齢が高い(平均年齢が55歳くらい)から、それも出来ない。
なので、ギリギリ生活できればいいやっていう感じで、細々と働きつづける。
(もちろん、バリバリ稼いでいる乗務員さんもいますよ)
乗務員が働きさえしていれば、上前をはねているだけの会社はつぶれないんです。

もちろん、全員が細々としか働かないならつぶれる会社もあるでしょうけど、やっぱり生活がかかっているから、乗務員だってがんばる訳です。
労働時間を延ばし、急いで走り、健康と安全を多少ネグってでも稼ぐ。
おかげで、会社は無茶な経営さえしなければつぶれません。

でも、実際には、労働時間に照らしてみて、支払われている給与が最低賃金に抵触するケースが出てきます。
まさにこのあたりが、規制緩和の思惑がはずれた部分です。
一般の会社員のように月給であれば、会社の売上が減ったら経営は厳しくなります。
だからといて人件費を削ろうとすれば、社員は辞めるし、採用しにくくなります。
でも、乗務員は歩合制なので、売上が減った分、自動的に人件費が削られているのです。
だから、一般の会社ほど、経営が厳しくならず、その厳しさは多くの乗務員に分散してしまうのです。

だからといって、私は再度規制をすることには反対です。
規制するなら、売上にかかわらず最低限支払うべき給与について厳しく定めて、これを会社側に遂行させることが重要です。
こうすれば、いい加減な会社からつぶれていきます。
つぶれていけば、台数が減ります。
台数が減れば、一人あたりの売上が向上します。
で、どこかで需要と供給がバランスして、最低限支払うべき給与をきちんと支払ってもペイできる経営のラインに来るはずです。
それが、正しい規制緩和だと、私は思います。

新規参入する会社がないと、経営者があぐらをかきます。
なので、再び規制をするのはいただけません。それは、利用者のためになりません。
利用者も乗務員もハッピーになるには、タクシー乗務員の賃金に関しての規定をしっかり作成し、売上が低くても必要最低限の生活が出来ることと、たくさん売上を上げたものには、それに見合う収入を保証することが、唯一の道だと考えます。

でも、そのことをわかっている人、日本に何人いるかな?(笑)