001861:東南アジア四次元日記

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東南アジア四次元日記
宮田 珠己
旅行人
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あいかわらずアジアが好きだ。
暑かろうが、しつこい物売りがいようが(いない国もあるが…)好きなものは好きなんだっ。
現代的な都会もいいし、牧歌的な田舎もいい。
それにアジアには「ん?」と立ち止まらせ「ん~?」と手にとらせたり、周りをぐるりと一周まわって確認させられたりするものが多い。
田舎や都会の裏通りなんかにそういうものはよくひそんでいる。

以前シンガポールの街中の裏通りを夜にふらふらと歩いているとゴミ置き場のように道が少し広くなっている部分に何かが建っているのを見た。
明らかに安っぽく、今にも傾きそうなその建物が気になって前へまわってみた。
…なんとそれは中国風オペラの舞台だったのである。
京劇風にコテコテに舞台化粧した女優さん(?)が唄をうたっている。
スポットライトを浴び、キラキラ着かざって超熱演なのだが、なぜか客はいない。
いや、いるのかもしれないが、客なのか通行人なのか、その劇団関係者なのかわからないのだ。
私はわざわざ前までまわって見に行ってしまったため、客として認識されてしまったようで帰りづらく、一歩ずつジリジリと時間をかけて後退したあげく、走るように逃げた覚えがある。
当然セリフも理解できず、「これ何?何この舞台の安っぽさは。何で客がいないのにこんなに熱演してんの?あ、リハーサルだったのかなぁ。でもリハーサルってふつうスポットライトとかまであてないし…あーひょっとして罰ゲームとか。それにしては大がかりすぎてシャレになってないぞー。」と、ずっと考えながら見ていた。
このように「んー?」的なものが多いのがアジアのおもしろさだと言えよう。

さて前置きが長くなってしまったけれど、今回のご紹介はこの本。
アジアのおもしろい場所やものを求めて作者が動きまわり、実際に見て、そして大いに茶化している。
この茶化し具合がおかしいのだ。
同じ関西人だから笑いのセンスも近い。
多分「茶化し」のセンスも近いのだろう。
茶化すというのは、とても難しいことだと思う。
やりすぎるとイヤミになるし、ひかえめすぎると気付いてもらえない。
それに、各個人の茶化し許容範囲もあるだろうし…。
ま、とにかく私にはピタリとハマったということだ。
写真も多く、それに添えられたコメントもふるってる。

それに、ただひたすら茶化すだけではなく、対象物(場所)の由来もきちんとしてあり、読みごたえは十分。
現在の私の中の「アジア本ランキング」で1位をあらそっている。
(ちなみにディフェンディングチャンピオンは、この書庫の1番最初に出てくる「河童の覗いたインド」なのだ。)

もし本屋で見かけたら手にとってみて。
表紙の写真も「ん~?」的なかわいらしさがあるから。