001860:ダライ・ラマ 自伝

投稿日:

ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライラマ
文藝春秋
売り上げランキング: 78,968

日曜日の朝、2人組のおばさんが玄関のチャイムを鳴らす。
何だろうと思って出ると、たいてい宗教のパンフレットを片手に満面に笑みを浮かべ、その精神的効用などを説きつけてくる。
うるさいので私は「おととい来やがれバカ野郎」というようなことを婉曲に伝え、おひきとり願うことにしている。
宗教って何だろうと思ってしまうのはこんな時である。

基本的に私は仏教に付随するいイメージは好もしく感じる。
まるで唄うように流れる読教。
お香のにおい。
静かでひきしまるような空気のお堂など。
時間が止まっているかのように感じられて、そこにずっといたいような気になってしまうのだ。

チベット(現中国の一部)には、ダライ・ラマという人がいると聞いたのはいつだっただろう。
ダライ・ラマは死ぬと転生し新生ダライ・ラマ(多くは幼児だ)が将来の精神的指導者となるべく教育されはじめる。
この本は、現ダライ・ラマの自伝である。
チベットが中国の侵略をうけ、ダライ・ラマ本人はインドに亡命。
自伝の中には戦争の描写も数多く出てくる。

輪廻とか転生とかの考え方は、私は勉強不足でよくわからないのだが、ダライ・ラマはこの本の中で「ダライ・ラマとは私の職業の名称である。」と言っている。
この考え方なら私にもわかる。
とにかくチベットの歴史、宗教観、チベット密教、そしてダライ・ラマその人に興味がある人には、とてもひきつけられる内容です。