000892:その28 空白の1分間

熱性けいれんについて

娘がインフルエンザにかかった。
はじめは熱もなく、鼻水をたらしていただけだったので、いつもの事とそんなに気にもとめていなかったのだが、動きが鈍くなり、夜あまり眠れなくなったあたりから高熱になった。

仕事を休み、医者へ連れて行き、さて一安心と思っていたら娘の様子が何かおかしい。
刺激にやけに敏感になり、ビクンビクンと体をふるわせる。
「?」 と思っていたら、とうとう起こってしまった。
熱性けいれんである。
大きく体をビクンとふるわせたかと思うと、眼球はみるみる上転し、白目をむいた。
手足をこわばらせ、体をビクンビクンさせている。
もちろん意識はない(と思う)。
体と顔を横向きにし、嘔吐にそなえる。
時間を確認する。
・・・ と、ここまでは、まだ看護婦としての経験がモノを言った。
しかし、顔色がみるみる悪くなり、口から泡を吹き出した娘を見て、私の看護婦としての冷静さはふきとび、母親の焦りのみとなった。
気がつくと、私は受話器を握り締め、119番をコールしていた。
絶えず娘の名前を呼んでいたようだが、はっきりおぼえていない。

小児科病棟勤務の経験もあり、けいれんもよく見かける症状なのに、いざとなると頭の中は真っ白である。
はっきり言って、他人の子のけいれんは冷静に見ていられるが、自分の子だと見ていられない。
母親を実感した1コマであった。

ちなみに、病院でけいれん止めの坐薬をいれられた娘は、丸2日ウトウトと眠りつづけ、目覚めたときにはいきなり元気パワー100%に戻っていた。

ひとさわがせな奴である。